住宅ローンや自動車ローン・目的ローンなどは利用目的がはっきりしていて、契約した利用目的にしか使用できず領収書や見積書、契約書が必要です。
しかし、ちょっとお金が足りない時に、少ない金額を借りるのに使用目的を証明するのはめんどうですよね。
そんな時に、必要な金額を自由に借りれるカードローンはとても便利です。
でも、「利用目的によって審査に落ちるのか」「作るだけでもいいのか」など、気になることはたくさんあります。
ここでは、審査の時に影響のある目的や使えない目的があるのかなど、カードローンの利用目的について紹介したいと思います。
カードローンの使い道は何でもいい?
カードローンには、消費者金融や信販会社のような貸金業者のカードローンと、銀行や信用金庫といった金融機関のカードローンとがあります。
どのカードローンの説明書を見ても、使いみちや資金使途という項目は、「原則自由」となっていますが、原則自由というと、自由じゃないこともあるの?って思いますよね。
基本的には、本当に目的は自由です。
ただし、カードローン会社によっては、「生計費に限る」「事業性資金を除く」というところもあります。
しかし、カードローンは申し込み時や審査の際に、申し込んだ目的を確認されることはありますが、何に使うのかを証明する必要はありません。
だから、審査にさえ通れば、どんな目的に利用しても本人の自由ということです。
収入の3分の1を超えても借りれる総量規制の例外目的
カードローンの目的は自由ですが、利用金額は自由ではなく、審査の結果個々に限度額が決まるのですが、その利用限度額にも制限があります。
その制限とは、「総量規制」という、借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐ法律で、借入できる金額は年収の3分の1までと決められています。
総量規制の対象となるのは、貸金業者からの借入で、消費者金融のカードローンはもちろん、クレジットカードのキャッシング枠などが対象です。
しかし、この法律には除外される借入と例外となる借入とがあります。
「除外」される借入は、総量規制の対象とならない借入のことで、主に金融機関からの借入のことを指します。
「例外」となる借入は、総量規制の対象ではあるものの、借入残高として計算した時に、年収の3分の1を超えている場合でも、返済能力があるかを判断したうえで、例外的に貸付けてもらえることを指します。
貸金業協会が公式サイトで発表している除外や例外とされている貸付けは、以下になります。
総量規制で除外される目的
- 不動産購入または不動産に改良のための貸付け(そのためのつなぎ融資を含む)
- 自動車購入時の自動車担保貸付け
- 高額療養費の貸付け
- 有価証券担保貸付け
- 不動産担保貸付け
- 売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け
- 手形(融通手形を除く)の割引
- 金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け
- 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
(施行規則第10条の21第1項各号)
総量規制の例外となる目的
- 顧客に一方的有利となる借換え
- 緊急の医療費の貸付け
- 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
- 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け
- 個人事業者に対する貸付け
- 預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け
(施行規則第10条の23第1項各号)
除外に関しては、書いてある通りですが、例外について補足の説明をしたいと思います。
顧客に一方的有利となる借り換えとは
数社からの借入があって、おまとめローンや借り換えローンを利用して、借入を1本化することで、金利が低くなったり、無理なく返済をしていけるなど、借り換えすることによって、借主にとって一方的に有利になる借り換えは例外になります。
ただし、1本化してもらう会社が、きちんと返済できる人と判断してくれなければ、借り換えはできないので、借入件数が多すぎると断られることが多いです。
緊急の医療費の貸付けとは
事故に合って、突然の入院することになったり、病気がわかって早急に手術が必要となった場合に、年収の3分の1以上の医療費がかかる時は例外とされています。
これは、高額医療の申請をすれば、ある程度戻ってくるお金であるからでしょうね。
社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付けとは
社会通念上緊急って難しいですよね。
これは、多くの場合が、葬儀の費用や旅先でトラブルがあって余分に宿泊代が必要になったりといったことを指します。
配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付けとは
配偶者と申し込み者の年収を併せた金額で、年収の3分の1までの借り入れができるといったものです。
たとえば、夫の年収が420万円、妻の年収が180万円だとします。
夫が借りれるのは140万円までで、金利は年率15.0%です。
妻が借りれるのは60万円までで、金利は年率18.0%です。
別々で借りても一緒に借りても、夫婦で借りれる金額は200万円までですが、一緒に借りると200万円に対して金利がつくため、最高金利だとしても15.0%で借りれるのです。
別々に借りると、妻の金利は18.0%のうえに、返済がバラバラになるので、管理がしにくくなります。
ただし、配偶者のどちらかが専業主婦(主夫)の場合も適用されるのですが、消費者金融の申し込み条件は安定した収入がある人が前提のため、専業主婦の申し込みで、例外として認められるのは難しいようです。
個人事業者に対する貸付けとは
総量規制は、個人に対しての貸付けを対象としているため、事業資金として個人事業主が借入をした場合は、例外となります。
上記の章で説明した、ビジネスローンのようなローンが例外の対象です。
預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付けとは
預金取扱機関にローンの申し込みをした時に、お金が振り込まれるまでに時間がかかりますよね。
支払いが間に合わない時などに、つなぎとして借りる場合は例外とされています。
事業性資金への利用を禁止している銀行カードローン
銀行のカードローンは、総量規制の除外時効の「貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介」にあたるため、総量規制の限度額に関係なく、自由な目的で利用することができます。
しかし、銀行カードローンの概要書や商品説明書を見ると「事業性資金にはご利用いただけません」となっています。
利用目的が自由なのに、なぜ事業性資金にだけ利用したらいけないんだろうと思ったので、いくつかの銀行カードローンに電話して聞いてみました。
その答えは、「あくまでも個人に向けてのローン商品で、事業者ローンとして使えるローン商品があるので、事業性資金には使えないとしています」との回答でした。
また、気になったので、法律で禁止されているのか訪ねたところ、法律ではなく○○銀行の商品の規約ということですという回答でした。
さらに、万が一事業性資金として利用したのがバレた時のことを訪ねると、特に罰則はありませんという回答でした。
しかし、銀行によっては、その状況によって判断しますというところもあったので、利用できなくなることもあるようです。
正直、利用目的を証明する必要がないので、よほどのことがない限り、事業性資金として利用してもわからないなぁと思いした。
しかし、万が一のことを考えると、急に利用できなくなっても困るので、事業性資金としての利用はやめた方がいいと思います。
もし、どうしても事業性資金が必要な場合は、事業者向けのカードローンに申し込むことをおすすめします。
わざわざリスクを背負って個人向けカードローンを利用するよりも、事業者向けカードローンの方が、比較的借入可能額が高いです。
また、消費者金融のビジネスローンは、総量規制の例外事項の「個人事業者に対する貸付け」にあたるため、収入に対しての借入制限もなく借りれるのです。
目的は自由だけど審査で言わないほうがいい目的がある
カードローンは目的自由ですが、申し込み時や審査の際に利用目的を確認されることがあります。
何に使ってもいいですよと言っていても、目的が明確な方が貸す側としては安心ですよね。
だからこそ、目的を確認された時に、やっぱり言わないほうがいい目的というのがあります。
その、言わない方がいい目的は2つ。
1つは、株やギャンブルといった投機性の高い目的。
そして、もう1つは、借金の返済です。
株やギャンブルで借入をする人にとっては、利益が出れば返済の心配はないと思って借入をするのだと思います。
しかし、株やギャンブルは、必ず利益が出るというものではないですよね。利益が出なかったら返済どころか返せないことだってあります。
そのため、借入をしてまで株やギャンブルをするというのは、返済能力が低いと見られてしまい、審査に通りにくいといえます。
そしてもう1つ、借金の返済が目的というのは、多重債務者ですと言っているようなもの。もちろん返済能力が低いとみなされますし、返ってこないと判断されます。
借金の返済が目的の場合は、おまとめローンや借り換えローンといった、借金を1本化できるローンの申し込みをおすすめします。
申し込みや審査の際に、もし目的を確認されるようなことがあれば、旅行や冠婚葬祭・楽器を買うなど、一時的に必要な目的を答えるといいでしょう。
目的は「作るだけ」でも信用情報に載る
カードローンの申し込みを考える人の中には、急に必要になった時のためにと、特に借りる予定はないけれど、作っておくだけの目的でカードローンの申し込みをする人もいますよね。
「作っておくだけ」でも、もちろん申し込みはできますし、審査に通ればいつでも自由に利用することができます。
ただし、作っただけでも、信用情報機関への登録はされるのです。
信用情報機関に載ると何がいけないの?持っているだけで利用してないなら、問題ないんじゃないの?と思う人もいるのでは・・・。
もちろん、持っているだけで問題になることは何もありません。信用情報機関に載っても、契約日が記載されるだけです。
しかし、もし住宅や車の購入など、高額なものをローンで買おうと思っているなら、利用目的もないのに作るだけの申し込みはやめたほうがいいかもしれません。
なぜなら、利用していなくてもカードローンを持っているというだけで、組みたいローンの審査に影響があるから。
カードローンの申し込みだけじゃなく、住宅ローンや自動車ローンなど、お金を借りる時には、必ず信用情報機関に問い合わせをされ、高額なローンになるほど、他のローンや借入があると審査が厳しくなります。
特に住宅ローンや自動車ローンといった高額ローンを組む場合は「返済比率」または「返済負担率」といって、年収に対する年間に返済できる金額(元金+利息)の割合を算出し、いくらのローンなら組めるかが判断されます。
そのため、カードローンを持っていると、利用していなくても使うものとみなされ、限度額の分、住宅ローンや自動車ローンの返済比率を下げることになり、審査に通らなかったり、希望額を借りれないこともあるのです。
作っておくと、急な出費の時にあわてずすぐに借りれるので便利ですが、多額なローンを考えている場合は、まずそのローンを通してから、カードローンを申し込むことをおすすめします。
また、金融機関の場合は、住宅ローンを組んでいるところで、カードローンを申し込めば、利用する際に金利の引き下げをしてくれるところもあります。
作るだけが目的の場合は、目的別ローンを組んでからカードローンの申し込みをする方がお得なのです。
借金返済が目的の借入は返せなくなる可能性が高い!
目的自由なカードローンは、作るだけが目的の場合は、使わなければもちろん返済の心配はありませんよね。
目的が作るだけじゃなくても、一時的に必要な目的の場合は、予算を考えて借入をしているので、返せなくなる人は少ないです。
しかし、借金の返済が目的の借入はしてはいけません。
なぜなら、返せなくなる可能性が高いから。
借金の返済が目的ということは、借入額を増やすか、新たな借入先を増やすということ。
借金返済のために借入をしているのですから、すでに自分の収入では返せなくなっているということですよね。
借金返済のための借入は、初めのうちは1社から借りては返すを繰り返すのですが、返済額には利息が含まれているため、返済が追いつかなくなります。
たとえば、限度額10万円で5万円を年率18.0%で借りて月々1万円ずつ返済した場合。
最初の返済額の1万円には、利息が740円(30日分)含まれているため、実際に返済する金額は9,260円です。
この返済のために1万円借りると、借入の方が740円多くなるということです。
これを繰り返していると、あっという間に限度額がいっぱいになり、また新たな借入先で借りてしまうという、多重債務に陥りやすいのです。
そのため、借金返済のために借入をすると、元金が減らず常に返済に追われることになるのです。
借金返済が目的で借入をする場合は、返済していくだけのおまとめローンや借り換えローンを検討することをおすすめします。
目的が自由だからこそ使い過ぎる!しっかり計画を持って使う
カードローンは目的が自由で、利用方法もとても簡単で便利です。
しかし、車やDVDのように、お金を払って借りることと違い、「お金を借りる」ことは、借りていることを忘れてしまいがちです。
それは、財布に入れてしまうと自分のお金と区別がつかないから。
借りたお金を使う時に、借りたお金だからと支払いを拒否されることはありませんよね。お金に借りたお金と書いてあるわけでもありません。
目的も利用方法も自由ですが、自由には責任がともないます。
特に、借金の返済が目的であったり、生活費のために借入した場合は、何かを得るためではなく、その場しのぎに借りるので、借りすぎてしまうのです。
カードローンを自由に便利に利用するには、しっかり計画をたてて、自分の返せる範囲内で借りるようにしましょう。